河合弘之弁護士講演会「どうする原発再稼動!」(2)

次に、裁判で再稼動を止めること以外にどんな方法があるのか考えてみましょう。

総力戦で再稼動にとどめを
○再稼動に反対する首長を・・新潟県の米山隆一知事は脱原発を掲げています。知事(市長)が反対したまま原発が動くことはありえません。茨城県は次の首長選でも焦点にすべきです。

○法律で止める(後述)。まず、原発に賛成する議員を選挙で落としましょう。

○私の映画『日本と原発』『日本と再生』を必ず見て下さい。原発に関するすべてが描かれています。(DVDあり)『日本と再生』では自然エネルギーによる発電を説いています。2015年のパリ協定以来、脱CO2、脱温暖化は世界の潮流です。自然エネルギーのコストが安くなり、太陽光パネルの価格は5年間で5分の1まで下がっています。パリ協定に中国、アメリカが賛成したのは、パネル等の売り込みにより自然エネルギーで儲けることができるからです。トランプがパリ協定から離脱しようと、アメリカの企業や州が「やる」のです。もはや後戻りはできません。環境に良いということのほかに、儲かるのです。

日本は全然ダメです。一周遅れの状態です。政策障害がひどい。しかし政策変更は必ずするでしょう。日本は太陽光、風力、地熱、バイオマスなど自然エネルギー大国です。アイスランドの自然エネルギーの利用は日立などの日本の企業が技術を提供しています。自然エネルギーをさかんにすれば、原発に頼るのは、ばかばかしくなるでしょう。

○訴訟による再稼動阻止・・訴訟には本案訴訟と仮処分があります。原発立地の首長や県知事に反対させ、隣県でも運動を起こします。デモやネットを利用することで、報道に消極的なマスメディアに注文をつけるのです。映画の自主上映も考えられます。

○責任追及を緩めない。・・刑事事件として責任追及します。東電の勝俣恒久元会長、武藤栄・武黒一郎元副社長(三悪人)に対する強制起訴により2016年に裁判が始まりました。彼らは震災時における15.8mの津波予想情報を握りつぶしたのです。
一方、民事訴訟による損害賠償請求も行なわれています(注9)。賠償額は東電が最初5億円と言っていたものが22億円になり、日経シンクタンクの予想では「70兆円」と予想されています。これは日本の国家予算に迫る額です。たった一度の事故でこうなるのです。

注9:2017年3月の前橋地裁判決に続き、同年10月10日、福島原発事故の被災者約3800人が、国と東電に損害賠償を求めた訴訟の判決で、福島地裁は国と東電の責任を認定し、原告2900人に総額約5億円を支払うように命じた。

○健康被害の追及・・国は原発事故と健康被害(甲状腺ガン)との因果関係を認めようとしません。甲状腺ガンは100万人に1人の珍しい病気ですが、福島ではこれまで38万人を調査し、200人に甲状腺ガンが見つかりました。異常に高い割合です。国はこれを「スクリーニング効果」によるデータとして、絶対に因果関係を認めません。
○被害者救済運動
以上の運動を全部やる必要があります。総力戦です。

《「原発ゼロ自然エネルギー基本法」案》
そして法律で止めを刺すのです。それが原発即時廃止を掲げる「原発ゼロ自然エネルギー基本法」案です。私たちは原発ゼロ自然エネルギー推進連盟(原自連)を結成し、運動諸団体を全部まとめ、弱体であった「横のつながり」を強めました。元首相の小泉氏や細川氏も参加していただき、200団体が結集しました。これまで民主党、民進党の中にも原発賛成派がいたわけですが、今や立憲民主党だけで法案を出す事ができるようになりました。希望の党にも法案賛成者が居ます(注10)。実は、この問題について国会で議論したことはこれまでに一度もありません。法案を提出することで議論が始まります。国会で公開討論することは選挙の争点にもなります。遂に「時は来た!」のです。
「即時ゼロ」は決して過激ではありません。3.11以来、日本は7年間、ほとんど原発ゼロでやってこられたことを国民は知っています。だから「原発ゼロ」なのです。「あと10年動かす」としたら、その間に事故がもう一度起きた時どうするのでしょう。「だんだんフェイドアウトする」という考えは能率が悪い。「どの原発を残すのか?」という問題が生じ、時間がかかってしまいます。「即時ゼロ」が一番現実的です。

注10:希望の党は2018年1月19日、党エネルギー調査会で、「原発ゼロ基本法案」をまとめ、2030年までに全ての原発を廃止すると掲げた。これは立憲民主党の法案骨子に近く、他の野党との共同提出も検討している。

電力会社を軟着陸させる
電力会社が原発ゼロに反対する理由は何でしょうか?原発ゼロになれば資産ゼロとなり債務超過が生じます。総額6兆5千億円。「毎年少しずつ債務超過を出したら?」という考えもあります。そして一部を会社に弁償する。ドイツは原発廃止を決定しましたが、会社の損失の一部を国が弁償しています。会社に軟着陸させるわけです。電力会社との対立ばかりでなく、国民が負担してまでも原発の恐怖を無くすほうが良いのです。

原発推進派とは何か?それは「原子力村」のことです。電力会社の周りにゼネコン、日立、東芝、その下の電力労組、マスメディア、電通。中央官僚は天下りで結びつきます。そしてメガバンクや学者達(東大工学部)、更に、原発関連の補助金で地方政治家と繋がります。「原子力村」は強大な力を持っているようですが、自然エネルギーの台頭でそれが崩れる予兆があります。日経やNHKなどのメディアの報道姿勢にも変化が生まれています。3.11以来、廃炉作業や地域復興のための追加工事費が高騰しています。一方、中国は日本の30倍から40倍の自然エネルギーを利用するようになりましたから、政治家はこの動きを無視できなくなっています。情勢は大きく変化しつつあります。
(終わり)

感想》河合弁護士は「私は脱原発至上主義者です。脱原発のためなら悪魔とも手を結ぶ」と述べていたが、長い反原発裁判闘争の経験から、電力会社の「軟着陸」までを考えるような非常に現実的かつ効果的な運動を作り出している。
私は、「反原発運動は権力闘争であり、中央政府を変えなければ何も変わらない」と考えていた。しかし、河合弁護士の「総力戦」論を聞いて、地域住民が自分に出来る範囲で何らかの声をあげることが重要であると思うようになった。

私が住んでいる埼玉県では2017年12月、県議会で大した議論もなく、突然「原発の再稼動を求める意見書」が自民などの賛成多数で可決された。「原発神話」は既に崩壊し、原発事故の原因究明も不十分な中で、被災地を無視し、時代に逆行するこの決議により、埼玉県議会が埼玉県民を代表していないことが明らかになった。原発再稼動は県民の声ではない。自民県議よ。そんなに原発が安全だと思うなら、「埼玉に原発指定廃棄物を誘致しよう」と言えるか。自分達は「安全」な所に身を置いて原発のリスクを原発立地県に押し付けるのは極めて無責任である。

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