武器やミサイルを構えてもコロナは待ってくれない

日本が新型コロナウィルス感染症に襲われてから半年。この間に日本人が気付いたことは何だろう?
〇「アベノマスク」に見られるように、無駄なところに税金を注ぎ込み、真に必要なところが無視される行政の怠慢。不作為。
〇政府が無能であること。
「世界」2020年8月号で、『パンデミックから軍縮へ』と題した川崎哲氏の論文が載っている。川崎氏はピースポート共同代表で核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員である。この中で、氏は、気候変動を背景とする災害の甚大化、新興感染症のような軍隊の攻撃ではない事象で国家が危機に瀕する状況が、世界に生まれているという認識をふまえ、「第二次世界大戦後75年という年に起きたこのパンデミックは、国際的な安全保障論を大きく転換させる」という認識に達している。すなわち、世界各国がパンデミックを制圧するため軍事防衛費に替えて医療費を増大させ、世界的な医療提供体制を構築することで安全保障が維持できるとしている。
この論文では核兵器や防衛費費用と医療のニーズを比較している部分が興味深い。

〇フランスが昨年核兵器にあてた46億ユーロで、集中治療室のベッド10万床、人工呼吸器1万台および看護師2万人と医師1万人の給与を賄える。イギリスでは、昨年の核兵器費用72億ポンドでベッド10万床、人工呼吸器3万台、看護師5万人と医師4万人の給与を賄える。米国は、昨年の核兵器費用351億ドルでベッド30万床、人工呼吸器3.5万台、看護師15万人と医師7万5千人分の給与を賄える。(2020年3月、ICANにおける核兵器国における核兵器費用と医療のニーズの比較)
〇今年度の日本の防衛費5.3兆円のうち、戦闘機や武器、艦船などの目的で今年度契約して支払う物件費が1.1兆円。この費用で、集中治療室のベッドを1.5万床整備し、人工呼吸器を2万台そろえ、さらに看護師7万人と医師1万人の給与を賄うことができる。
〇個別項目でみると、護衛艦「いずも」を事実上の空母に改修するための費用が31億円、同艦で運用する戦闘機F35Bを米国から6機購入する費用793億円が計上されており、合計で824億円。この金額で、全国にPCR検査センターを130か所以上設置できる。(「イージス・アショア」のために計上された129億円についての比較もあるが、配備計画が停止されたため省略)
〇ユニセフによれば、世界人口の4割にあたる30億人が、自宅で石けんと水で手を洗うことができない。一方で国連軍縮局は、世界の人々に基本的な水と衛生を提供するのに必要な費用は、世界の年間軍事費の2%以下で済むとしている。
〇「軍事費に対する国際行動デー」(GDAMS)キャンペーンの試算では、F35戦闘機1機の費用8900万ドルは集中治療室のベッド3000床以上、バージニア級攻撃原潜1隻の費用28億ドルは救急車9000台以上、レオパルト戦車1両の費用1100万ドルは人工呼吸器440台、核搭載可能なトライデントⅡミサイル1基の費用3100万ドルはマスク1700万枚に相当する。
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「軍事費を削って福祉へ」とか「戦闘機1機分で学校が3校建てられる」というような論理は以前から存在した。しかし、今ほど切迫感をもって「武器から人へ」が求められている時はないだろう。SARS、MERS、新型インフルエンザ、新型コロナウィルス感染症など、21世紀になって新興感染症が毎年のように世界を脅かしている状況の中で、医療提供体制の整備こそが最大の安全保障となる。現代の世界平和は核やミサイルなどの軍事力では絶対に達成できない。

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