日本語ボランティアを再開

6月24日(水)、日本語ボランティアがようやく再開された。2月26日に休止して以来4カ月ぶりである。会場は窓が無いので2つのドアを開け放ち、エアコンの風が外に流れるようにした。我々スタッフはマスクを着用した上に、更にフェイスシールドを付けた。学習者との距離を保つために机を二つ分重ね、開始前と開始後に消毒液で丁寧に拭いた。午後7時、中国人、ベトナム人、アメリカ人、コンゴ人・・学習者は全員マスクをして続々とやって来た。
私の担当は中国人の呉さんだ。彼女は既に日本語能力試験N2に合格し、今年は、最上級のN1を目指している。残念ながら今年7月の試験はコロナ禍で中止になり、12月試験が目標となる。彼女は着席した途端に「休み中はどうしていましたか?」と聞いてきた。私たちはしばらくの間、4カ月の間の出来事を語り合った。そして本題。
私はN1を目指す呉さんのために教材を用意して来た。朝日新聞「天声人語」を横書きに直して読解のための資料を付けたものである。日本人だって難しい文章なのに、外国人に理解できるだろうか?

題名は「東京足立区に野生のシカ出現」。荒川河川敷に野生のシカが出現し、捕獲されて「市原ぞうの国」に引き取られるという話だ。
「声を出して読んでみましょう。」
すると、思った通り、いわゆる「訓読み」ができなくて、つっかえてしまう。
「締まる」「漂う」「隔てる」「訴える」などだ。呉さんは「意味はわかる」という。しかし、読み方がわからない。一つ一つ丁寧に教え、もう一度朗読してもらう。

なぜシカなどの野生動物が人間の居住区に現れるのか。本文に従って「奥山」「里山」「里」の位置関係をホワイトボードに図示して説明する。
「昔、里の人々は里山から薪や山菜などを採って暮らしていました。」
「”たきぎ“って何ですか?」
私はボードに「薪」と大きく書いた。
「それ、中国では“給料”のことですよ」と呉さんは面白がった。
「昔は薪を燃料にしていました。しかし、石油やガスを使うようになったため、薪は要らなくなり、里山はジャングルみたいに荒れてしまいました。そこに奥山から動物たちが下りてきたのです。人間は里山にあったドングリなどの実のなる木を切って、有用な杉を植えたのです。だから餌が無くなった動物たちは畑に現れるようになったのです。」
「畑を荒らす野生動物の名をあげてみましょう。」
「イノシシ、シカ、それからえーと、クモ!・・間違えました。クマです。」
「イノシシは“猪”と書きますね。」
「それ、中国ではブタのことです。」(中国語ではイノシシは“野猪”と書く。)
「日本では、昔は、“シシ肉”というと猪やシカの肉を指しました。」
「えっ?シカを食べるんですか?」
「食べます。美味しいですよ。」
「それは中国の“野味”ですね」と呉さんは言った。
日本人も「野味」を楽しんでいたのである。近代的生活に慣れた日本人はそのことを忘れてしまっている。

様々な方面に会話が発展したことで、この教材は意義のあるものになったようだ(自画自賛)。

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