IR推進事業における安倍首相の醜悪な嘘

2020年1月22日、国会の代表質問の席上、安倍首相はIR(カジノを含む統合型リゾート)について次のように答えた。「カジノだけでなく、国際会議場、展示場、大規模な宿泊施設を併設し、家族で楽しめるエンターテインメント施設であります。」
「家族で楽しめる」?よくもまあ、このような嘘を平気でつけるものだと呆れ返る。IR担当の内閣副大臣だった秋元司衆議院議員が逮捕され、秋元以外にも複数の自民党議員が事情聴取を受けるなど、IR建設に関する疑惑が大きく浮かび上がっているにもかかわらず、安倍首相と菅官房長官は「秋元個人の問題」として、IR汚職問題から逃亡しようとしているのだ。

IRは安倍首相、菅官房長官、官邸と強い結びつきがある松井一郎日本維新の会代表が推進してきた。その背景にはアメリカを含めた巨大な利権が存在している。
それまで国会に出したり引っ込めたりして「店晒し」になっていた《カジノ解禁法案》が、ろくすっぽ議論もせずに衆議院本会議で突然強行採決され成立したのは2016年12月15日のことだった。衆院内閣委員会での審議時間はわずか5時間33分だった。この強引な採決を推進したのが自民党と日本維新の会で、議長として採決に踏み切ったのが、この度逮捕された秋元議員だった。秋元はその褒賞として2017年8月、IR担当の内閣府副大臣に任命された。かくして刑法で賭博として禁じられていたカジノは晴れて国家の手で解禁された。
それから1年半後の2018年7月20日、衆参で40時間ほどの審議時間で与党は採決に踏み切り、かくして《IR実施法》が成立した。安倍首相は「我が国を観光先進国に引き上げる原動力になる」と演説した。安倍首相は何ら成果を上げていない「アベノミクス」における「企業の成長戦略」の一環としてIRを位置付けたのである。

しかし、ここに大きな嘘が存在する。IR法は特定のカジノ企業を設けさせるための大義名分にすぎない。「特定の企業」とはアメリカのカジノ大手のラスベガス・サンズ、MGMリゾーツ・インターナショナルの2社である。両社はすでにマカオで大儲けしている。特にラスベガス・サンズ社は世界最大の売り上げを誇るIR事業者である。また、会長のアデルソン氏はユダヤ系大富豪で、トランプ大統領の娘婿クシュナー氏と親交が深く、2016年の大統領選で、トランプ氏に2千万ドル(約22億4千万円)の献金をした熱心な共和党支持者でもあった。
ここにトランプ=アデルソン=安部という人脈が浮かび上がって来る。

2016年11月17日、安倍首相はドナルド・トランプ次期大統領と「トランプタワー」で会談した。安倍はてっきりヒラリーが次期大統領に当選するものと予想していたので、トランプ当選の報を聞き、お土産のゴルフクラブを持って慌てて訪米したのである。大統領就任前の首脳会談は異例で、会談の内容は「非公式なため秘密」とされた。
2016年12月15日、安倍内閣は「カジノ解禁法」を強行採決した。
2017年2月、安倍首相は就任間もないトランプ大統領と日米首脳会談を行なうため訪米した。その際、首都ワシントンで開かれた朝食会で、安倍首相はラスベガス・サンズ社のシェルドン・アデルソン氏と同席した。首脳会談終了後に安倍首相はトランプの別荘に招かれ、そこで大統領は突然アデルソン氏のカジノ事業を話題にし、日本での事業認可の検討を求めた(米メディア2018.10.10)。

最初の会談で安倍とトランプの間に何らかの密約があったと思われ、「カジノ解禁法」は首脳会談の「手土産」ではなかったかと推測される。

現時点でカジノ誘致を表明しているのは、神奈川(横浜)、東京、千葉、愛知(名古屋、常滑)、大阪、和歌山、長崎で、中でも大阪、横浜が有力な候補地と見られている。2019年11月、北海道は、誘致を見送ることが発表された。北海道に熱心に売り込みを図っていたカジノ中堅企業のハードロックカフェは脱落した。IR候補地3か所が正式に決定されるのは2021年後半になる見込みであるが、ここで重要なのは、各自治体は申請の際、IR運営事業者を決めておかなければならないことだ。しかし、日本にはパチンコはあるがカジノの運営方法を知っている企業は無い。誘致希望自治体は国際カジノ資本に頼らざるを得ないのである。大阪はMGM(オリックスと合弁会社)、横浜はラスベガス・サンズという見方が一般的である。

2018年7月に《IR整備法》が成立すると、9月には早速、ラスベガス・サンズ社のアデルソン会長は松井一郎大阪知事(当時)と会談した。アデルソンは「カジノ面積の上限規制撤廃」を主張し、このため政府は「面積上限」を取り払い、「カジノはIR施設全体の3%以内」に変更した。外国の一企業が日本の法律を変えさせたのである。同年12月に松井知事と会談したラスベガス・サンズ社のロバート社長は「IRを作るには非常に高い投資が必要。我々は政府から課せられる役割を果たしたいと思う」とコメントした。こうして、大阪とラスベガスサンズ社との関係が緊密になったと思われたが、2019年8月に横浜がIR誘致を正式に表明すると、ラスベガス・サンズ社は、大阪から横浜に方向転換することを発表した。大阪の利権はMGMに譲られたと考えられる。

こうして安倍・トランプの密約は現実のものとなり、国際カジノ資本は安倍政権にしっかりと食い込んだのである。
私はIR問題の現実を見ると、いつもアヘン戦争(1840-42)を想起する。イギリス商人がアヘンを中国に売り込んで大儲けする一方、中国からアヘンの対価としての銀が流出したため経済は混乱し、中国人民に中毒者が蔓延した。清朝の役人は賄賂を掴まされてアヘン密輸を黙認し、甚だしきは「アヘン貿易を解禁して、アヘンに課税すればよい」と言う策さえも出る有様だったのである。結局、道光帝が林則徐を欽差大臣に任命してアヘンを厳しく取り締まり、このため戦争が起こった。安倍首相は、まるでアヘン商人を手引きして私腹を肥やす19世紀中国の腐敗役人のようだ。賭博により私財を貪られる日本国民は中国のアヘン中毒者のようなものだ。「家族で楽しめるエンターテインメント施設」とは到底思えない。

《追記》「予想通り」と言うべきか、「出来レース」と言うべきか。IRの誘致をめざす大阪府と大阪市は、14日(2020.2.14)、IR事業者の公募を締め切り、MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの共同チームのみが応募したと発表した。(2020.2.15朝日)
横浜はラスベガス・サンズで決まりだろう。「共同チーム」とはちゃんちゃらおかしい。最初からシナリオは決まっていた。日本国民の富は、アメリカの強欲資本主義により収奪されることになる。それを「手引き」したのが安倍晋三首相だ。

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