世界一の「ならず者」国家がイラン革命防衛隊司令官を殺害

2020年1月3日、米国はトランプ大統領の直接の指示でイラン革命防衛隊最高幹部ソレイマニ司令官を殺害した。殺害場所はバグダッドである。イラン側は激しく反発し、米国への報復を予告した。米国は遂に「一線を越えた」のである。

米国とイランとの対立が激化したきっかけは、2015年に欧米など6カ国とイランとの間に成立した6カ国核合意から、2019年6月に米国が一方的に離脱したことである。トランプのこの行為は国際法違反だった。離脱に反対し外交による問題解決を主張したティーラソン前国務長官やマクマスター前大統領補佐官は、相次いで更迭された。離脱以後、あえて国際的緊張関係を強いて、戦争を仕掛けようとするトランプの脅迫外交が始まったのである。
2019年5月、米国はイラン産原油全面禁輸を発表すると、イランは、6カ国核合意からの逸脱を開始した。同年6月13日にホルムズ海峡付近で日本のタンカーなど2隻が攻撃され、6月20日には、イラン革命防衛隊が米軍無人偵察機を撃墜した。タンカー攻撃の犯人は不明である。
6月21日、トランプは、突然、次のようにツイートした。
「“革命防衛隊”による米無人偵察機撃墜への報復措置として、イランに対して三か所、限定的な攻撃を一時承認した。軍幹部から150人の死者が出ると聞いて、“無人機の撃墜とつりあわない”と考え、攻撃10分前に撤回した。」
戦争に関する「機密情報」を、たった一片のツイッターで明らかにするトランプ外交の異常さに驚く。恐らく、この狙いはイラン政権に対する脅しとともに、戦争を始める権限が自分にあるという、トランプの力の誇示を表し、同時に次期大統領選挙を有利に展開する狙いがある。彼は今や独裁者なのだ。無人偵察機撃墜事件も、米国の挑発行為だった可能性も否定できない。米国が過去に、挑発して相手に攻撃させ、それを戦争の口実とした例があるからだ。

7月、米国がホルムズ海峡で船舶警護の有志連合構想を発表すると、9月にサウジアラビア東部の石油施設2ヵ所がドローンによって攻撃された。この犯人も不明である。12月になると米国とイランとの対立は一層激化し、12月29日、米国は革命防衛隊に近い武装組織のイラク拠点を空爆、これに対してデモ隊がバクダッドの米大使館を襲撃した。米国は背後でイランが指揮したと避難した。そして年が明けてすぐに米軍によるソレイマニ司令官殺害となる。まさに戦争前夜、一触即発の状態である。

トランプは今秋の大統領選を控え、アフガニスタン、イラクから米軍の撤収を考えている。2019年12月に公表されたいわゆる「アフガニスタン・ペーパーズ」は、アフガニスタンでの軍事作戦と復興支援が失敗であったことを明確に示している。しかし、トランプはイランと敵対する同盟国イスラエルや親イスラエルであるキリスト教福音派の支持を得るため、強硬姿勢をとり続けている。独裁者が自ら演じている自縄自縛の破滅的外交が、中東情勢を混乱に陥れている。脅しや裏取引や威信保持の先にあるものは戦争と国家の壊滅である。

ジョン・W・ダワーは『アメリカ・暴力の世紀』の中でつぎのように述べている。
「ジョン・コウツワースは、1948年から1990年の間に、アメリカ政府は“ラテンアメリカのすくなくとも24カ国の政府を確実に転覆させた”と述べており、“そのうちの4つはアメリカ軍を直接使って行い、3つはCIAが誘導した革命または暗殺で、17はアメリカの直接介入なしでその国の軍隊または警察を介入させて、通常は軍によるクーデーターという形で行なった”と説明している。」

1948年から1990年の間といえば、アメリカがアジアに関った戦争または政変は、思い出すだけでも次の通りである。4回の中東戦争(1948、1956、1967、1973)、朝鮮戦争(1951-53)、イラン・パフレビー2世のクーデター(1953)、レバノン出兵(1958)、ベトナム戦争(1965-73)、イラン・イラク戦争(1980-87)だ。中でも、イランと関るのは、パーレビーのクーデターで、石油国有化法を制定して米英石油資本に対抗したモサデグ首相に対して、アメリカの支援を受けたパーレビー国王が政権を転覆させた事件である。結局、1979年にシーア派の指導者ホメイニによるイラン革命でパーレビー国王は亡命した。イラン革命の中東拡大を恐れた米国はイラクのサダム・フセインを支援してイラン・イラク戦争を長期化させた。ところが、軍事大国化したイラクのサダム・フセインが「アラブの盟主」を気取り、イスラエルと対立すると、米国はイラク侵略戦争を仕掛けてイラクを崩壊させるのである。

ここまで考えると、米国の第二次大戦後の外交史はまさに血にまみれており、まことに、ろくでもない国であることが分かる。チョムスキーは次のように言っている。
「国際法違反、侵略行為、凶悪犯罪、人権侵害といった、どのような原則によって『ならず者国家』を定義づけたとしても、アメリカは完全に該当します。」

ところが、このならず者国家による有志連合参加の呼びかけに対して、安倍首相は米国の顔を立てて自衛隊を派遣しながら、ホルムズ海峡を避けてイランにも配慮するという、わけの分からない「調査・研究」派遣を決定した。国会承認も必要としないこの海外派遣は、拡大解釈すれば歯止めがきかなくなる恐れがあり、また、自衛隊がどこで、どのように活動しているのかの報告や資料を隠蔽すれば「文民統制」は名だけのものとなる。イラク侵略戦争の時、自衛隊が米兵をバグダッドに輸送していたという事実もあり、米国とイランの戦争が起これば、「非戦闘地域」「安全な海域」などという区別はできなくなる。イランは日本を米国と一体化した敵国と見なすだろう。今すぐできるのは、即刻、自衛隊の派遣を中止することだ。

《追記》2020.1.5 日本に最初にこのニュースが流れたのが1月3日午前10時頃だった。安倍首相はこの日、朝7時から宿泊していた六本木のグランドハイアット東京内のフィットネスクラブで運動し、11時32分から同ホテル内の日本料理店で昭恵夫人とランチ。午後12時34分には昭恵夫人とともに、映画『決算!忠臣蔵』を鑑賞。そのまま私邸に帰宅。1月4日は、8時24分に千葉県袖ケ浦市にあるゴルフ場「カメリアヒルズカントリークラブ」でゴルフを楽しんだ。ゴルフ場で記者団に中東情勢について問われると、「今月、諸般の情勢が許せば中東を訪問する準備を進めたいと思っている」と述べた。トランプが事実上の「宣戦布告」をし、明日にでも戦争が勃発するかもしれない緊迫した状況の中で、米国に戦争の自制を促す呼びかけもしないのは、許しがたい対応である。私はこの人物を日本国の指導者とは認めない。

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