「与野党対決」でなくても「与野党対決」になった埼玉県知事選

2019年8月25日に行なわれた埼玉県知事選で、立憲民主、国民民主、社民各党が推薦した大野元裕氏が、自民・公明両党が推薦した青島健太氏を約6万票の差で破り当選した(共産党は大野氏を自主支援)。当選した大野元裕氏は元国民民主党参議院議員。投票率は32.31%。約7割の有権者が棄権するという驚くべき低さだったが、これでも前回選挙(2015年)よりも5.68ポイント増。埼玉県民の県政への意識の低さが数字に出ている。

告示前の調査によれば、当初、青島健太氏(春日部高校出身)がスポーツライターとしての知名度において、大野氏を圧倒していた。そのような事前の劣勢を覆しての勝利だったから、マスコミはこの選挙を「与野党対決」と位置付け、選挙結果を「野党統一候補の勝利」「野党連携が示した活路」「自民に危機感」などという見出しで報道している。しかし、実態は異なる。

これほど争点のボケた選挙も珍しい。大野氏は選挙戦術として「上田清司知事の後継者」を強調していた。県民の上田知事への高い支持率を利用しようとしたのである。大野氏は、野党各党に対して「どの政党とも政策協定書を結ばず、何党に対しても是々非々で判断する」と述べ「与野党対決」を否定している(東京新聞)。従って青島氏との政策論争などあるはずもなく、水面下で各党が互いに支持者の切り崩しを図っていた訳だ。例えば、大野氏の祖父が強固な集票組織「川口自民」をつくったつながりで、同市経済界は大野氏を民主党時代から支援していた(朝日新聞)。従って、大野氏は自民党支持者の約3割を切り崩し、味方に付けた。なるほど、川口市だけで、大野氏は青島氏に約3万票の得票差をつけている。また、大野氏は立憲や共産支持層の8割以上、国民民主党の大半の支持を手堅く集めている。無党派の55%が大野氏に投票した(以上朝日新聞出口調査)。

青島氏と大野両氏の争点が全くわからず、水面下の権力闘争も知らず、16年に渡る上田県政の評価も「まあ、良かったんじゃないの?」程度の認識では、県民は何を基準に判断しなければならないか?
もはや、候補者を支援する政党を知る事しか判断の基準はないだろう。「自民、公明推薦の推薦する青島には絶対投票しない。」「“結果的に”、“事実上”野党共闘の形になっている以上、大野に勝たせて、安部内閣に少しでもプレッシャーをかけるのだ」と考える人も結構いたのではないだろうか?(私だ。)結局、投票日当日には「与野党対決」の構図が出来上がっていた。

これから先は冗談。ネット上の話題だ。青島氏は選挙中、大宮駅前の演説で痛恨のエラーをやらかした。
「私たちの愛する埼玉スタジアムを、もっともっと有効に使う。そのために地域活性化に欠かせない鉄道(埼玉高速鉄道)延伸を。」
青島氏はあろうことか、大宮駅前で埼玉スタジアムをサッカー以外の目的に利用することを主張したのである。この、日本を代表するサッカー専用スタジアムは浦和レッズサポーターの誇りであり、「聖地」となっている。2002年のW杯以来、数々の国内外の試合が、埼スタの美しい緑のピッチの上で行なわれてきた。大宮駅前で「私たちの愛する埼玉スタジアム」とやらかせば、大宮NACK5スタジアムを本拠とするアルディージャサポは怒るだろう。更に、「サッカー以外の目的に利用」発言はレッズサポを怒らせた。だから両氏の得票差はちょうど埼玉スタジアムの収容人数分だったんだとさ。おしまい。

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