尾木ママの怒り

夕食中、サクラが昨日(4月1日)見たTV番組「金スマ」の話をし出した。「尾木ママが大変感動的な授業をした」というのである。「尾木ママ」とは教育評論家尾木直樹氏のことであり、明石家サンマが彼の番組「ホンマでっか」で出演している尾木のことをそう呼んだのが一般化しているようだ。尾木氏はオネエ言葉を使うのである。

早速、ネットの「バラエティ動画」でこの番組を見た。
番組は「波乱万丈SP」と題して、前半は熱血教師時代の尾木氏を紹介し、次に名古屋女子大中学校での彼の道徳の授業を公開した。「人間ー生きるー命」と題して、「命をつなぐ」ことの大切さを熱く語っていた。なるほど、感動的な講義であった。視聴者の涙を誘うようにTV局側が付けたBGMは余計だったが。

問題は次の場面である。

彼は震災の被災地(宮城県)に赴き、そこで現地の教師達の話を聞き、怒るのである。それは、宮城県教育委員会が、震災の混乱のさなかに、4月の人事異動を強行したというものだった。
震災により、親を亡くした子、子を亡くした親が多数存在しているにもかかわらず、ずっと面倒を見て来た担任の先生が異動してしまえば、「子どもの心のケア」ができなくなるというのが、教師の主張だった。

「何様だと思ってるんですかね。公務員ですよ。県の教育委員会といえども住民とか市民とか先生達もために尽くすのが任務なんですよ。・・・(学校は)一番固定しなきゃいけない、補強しなきゃいけない所でしょ。」

尾木氏の怒りは収まらない。
その後、尾木氏は避難所となっている中学校を訪れ、子ども達と交流する。

私が「問題」と言ったのは、この番組に対して、宮城県教育委員会が直ちに抗議したからである。
県教委は「一部の関係者のみの取材を行い、宮城県教育委員会の取材を全く行わないまま放映した」とし、3月26日付の記者発表資料「平成23年東北地方太平洋沖地震を踏まえた教職員人事異動について」をネットで公開した。

これをまとめると次のようになる。
①大きな被害を受けた学校の復旧のために人的体制を強化する必要なあること。新年度の教育活動が始まるので、教職員の体制もそれにあわせて整える必要があること。
②被災地の学校職員が今回の人事異動により他の学校に転任する場合については、当面、異動元の学校職員として兼務を発令し、引き続き異動元の学校で業務に当たれるようにする。対象者は約500人。
③児童生徒の心のケアについては緊急学校職員(約60人)を任命し、サポートする。またきめ細かいケアができるよう、教職員を増員するように国に要望する。

「体制作り」を先行させるのか、子どもの心のケアを優先させるのか?決して分けて考えることはできない問題である。県教委の言う「兼務」に該当する基準は何なのか、「約500人」としているが、本当に現場の実態を踏まえて言っているのかも疑問である。

ただ、「一方的な取材による番組編成」であることは否定できない。県教委だって「ちゃんと考えてプランを出しているんだからこっちの言い分も取材しろよ!」と言いたくなるだろう。行政=悪としたほうが番組はわかりやすくなる。そこがバラエティ番組の限界か。

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