「バグダッド燃ゆ」を読む

KAME爺の推薦図書「バグダッド燃ゆ」を読んだ。短歌界の大御所岡野弘彦氏の歌集である。勿論、読みたいと思った理由は次の二首があったからだ。

まぎれいる 浦和レッズの旗のもと おのずから身に歌わきあがる

いさぎよくひるがえる身の とりわきて サントス、トゥリオ目放ちがたし

これらの歌は2005年1月に短歌誌に発表しているので、この情景は2004年のセカンドステージに於いて、エメルソン、達也らの圧倒的な攻撃力のもとに優勝したことを表している。アレックスや闘莉王に注目したところなどなかなか良い視点である。

しかし、この歌集はレッズ賛歌集ではない。太平洋戦争で死んだ同胞の魂との対話であり、それから生まれる自己の生きる指標の確認であり、現実の政治、社会に対する激しい怒りである。

焼けこげて 桜の下にならび臥す 骸(むくろ)のにほふまでを見とげつ

これは東京の空襲の体験である。そしてそれはイラク戦争の情景と重ね合わされる。

東京を焼きほろぼしし戦火いま イスラムの民にふたたび迫る
砂あらし 地を削りてすさぶ野に 爆死せし子を抱きて立つ母

そして妻は空襲の恐怖をかたりつつ正気を失い病床につく。
東京の焼けほろびたる夜の記憶 つぶさに告げて のち うつつなし

何のために生きながらえてきたのか。死者の魂はさまよい彼を責める。
かかる世に替えし われらの命かと 老いざる死者の声 怨みいふ

岡野弘彦氏は82歳。折口信夫の後継者である。彼の若々しい感性は時代を超えた魂との対話から生まれる。時代を捉える視点は鋭い。だからこそレッズを愛する若者たちを共感を持って迎えることができたのだと思う。

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