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zoom RSS 小川典子ピアノ・リサイタル

<<   作成日時 : 2017/07/10 12:02   >>

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「小学校時代、桐朋学園子どものための音楽教室に通っていた。当時、ピアノ実技試験の成績優秀者は、ヤマハホールで演奏ができることになっていて、『ヤマハ』は憧れの会場であった。私は、小学3年生から高校生になるまで、試験やコンクールがあるたび、このホールで演奏させてもらったのだった。・・・私の演奏経験の原点は、ここヤマハホールである。」(プログラムより)

国際的に活躍するピアニストがあえて「演奏経験の原点」とするヤマハホールで、その頃弾いた曲を再び演奏するという「物語」。それに惹かれて銀座まで赴いた。

《プログラム》
モーツアルト:ピアノソナタ第3番変ロ長調k.281
モーツアルト:ピアノソナタ第11番 イ長調「トルコ行進曲付き」k.331

リスト:パガニーニ大練習曲より第3番 嬰ト短調「ラ・カンパネラ」
ブラームス:6つの小品より第2番間奏曲 イ長調 作品118
シューマン:幻想曲ハ長調 作品17

7月7日(金)ヤマハホール 19時開演

《感想》私のコンサート体験は未だ微々たるものなのだが、ライブで聴いてみると、演奏家の求める方向性を感じ取れる時があるし、そうでない時もある。小川典子の演奏はもちろん前者であり、しかも鮮明に心に響くものがある。
前半の二つのモーツアルトの作品、特にk.331の第1楽章のヴァリエーションを聴いて驚いた。いわゆる「可憐」「愛らしく」「優雅に」という一般的な解釈とは正反対の表現のようだった。フレージングに、これみよがしの陰影をつけたりするような小細工をせず、グイグイと聴衆を牽引するようなまっとうで清々しいピアニズム。それは、第3楽章において顕著になった。モーツアルトがピアノで、異国の軍楽隊のマーチを描写・表現したかったと思われることを極限まで追求した風でもあり、機敏に反応するスピード感、多彩な変化、流麗な美しさに、この曲の持つ魅力を改めて感じたのである。

ブラームス(1833〜97)の「間奏曲」は晩年の1892年の作品。静謐な美しさに満ちた曲である。私は、既にブラームスよりも長く生き、自分を「枯れてきているな」と思うこともあるので、この作品を「作曲者の人生の回想」みたいに思っていた。しかし、小川典子は決してそのようには弾かなかった。強靭で理知的、それでいて濃厚なロマンチシズム溢れる瑞々しい表現だったのである。類型的なものを排した新鮮な感覚をもたらしてくれた演奏だった。

「幻想曲」は、若きシューマンが20代後半に作曲したものである。この時期は、彼がクララと婚約しながら、彼女の父親の反対に遭い容易に結婚できなかった時であり、作品の中にシューマンの焦燥感が反映されていると言われる。
第1楽章は圧巻の演奏だった。激情がほとばしる情熱的で、幻想的な表現が息もつかせず押し寄せる。展開部途中の「昔語りの調子で」の部分でもハ短調の主題が激しく弾かれて展開して行くのであり、「昔語りの調子で」という言葉から受けるイメージとは異なる。コーダのアダージョではベートーベンの歌曲「遥かなる恋人へ」の一節が引用されている。聴衆はようやく「フーッ」と息が抜けるのだが、ここでもクララのイメージが存在していると言う。いやはや、小川典子は大変な曲を最後に持ってきたものだ。第2楽章のマーチ風の展開は非常に華麗な演奏だったが、舞台で展開される物語を見ているような印象も受けた。
アンコールはサティの「ジュ・トゥ・ヴー」。ドイツ音楽ばかりで熱くなった頭脳のクールダウンに丁度いい。

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